murakami Labo.

村上研究所

親の顔が見たい

1月中旬くらいから友達・知り合いの公演がほぼ毎週のようにぶっ続けであって、
自分が役者をやるときに少しでも多くの人に見てもらいたいという気持ちがあるので、
宣伝メールを受けた芝居はほぼ毎回観に行っているのである。それでも1本か2本は見逃したけど。
1月の後半は週2本くらいのペースで観に行ってたのです。
 
・1月中旬、佐々木いつかさんの出演していた「こちらスーパーうさぎ帝国」『夢落ち』って作品がめっちゃ面白かった。20代前半の方が中心じゃないでしょうか。それぞれの事情で同窓会に行けない事情がある人たちが同窓会に集まっている「夢」のシーンで始まって、途中で登場人物たちが「これ夢じゃね!?」ってなる。「じゃあ起きよう」「ちょっと待て、これ誰の夢?」ってとこで怪しい博士が登場する・・・ストーリーもいいけどベタなギャグが盛りだくさん。次回公演がとても楽しみだ。
 佐々木いつかさんは絶対王様「笹木ワークショップ」で知り合った方だ。絶対王様ワークショップ公演も3月末に舞台があるはず。観に行こう。
 
・その日の夜に観に行ったやつは知り合いが3人くらい出てて、期待大だったが、残念ながらそうでもなかった。役者さんは面白いのに。
・次の週に行った「浅草橋アドリブスタジオ」で観たやつは・・そのうち本人にも直接言うと思いますが、よくなかった。まだまだ頑張って欲しいっす。技術の問題もあるけど、それよりも役者のテンションやチームワークの問題だと思った。
・その次にNODA・MAP『キル』を観た。NODA・MAPを観るのは数年ぶり。かなり期待大で観たのだが、これもいまいち良くなかった。主役2人がいまいちに思えた。勝村さん、市川しんぺーさんが良かった。たぶん演出はせりふを「音」として聴かせたかったんだと思う。俺は人の生々しい「声」を聞きたい。汚くなってもいいから。
 
・先週ですが田中涼子さんの出演する東京ネジ公演『ナルシグナル』を観た。王子小劇場。女の子が9人出演する芝居。これはけっこう良かった。舞台セットがすごくきれい。元ヤンキーの方、最初に出てくる主役の方、よく食べる子が良かった。きれいな女優さんがたくさん出てたけど、キャラが濃い人に注目してしまう。
 「日常に近い芝居」というのは嫌いではないけれど、この舞台・この役者さんたちでの「日常芝居」なところは若干興味を持てなかった。女の子3人が修羅場になっちゃうシーンとか、目の前で事件が起きてくれるところのほうが面白かった。
 
そして今日! シアタートップスにて『親の顔が見たい』という舞台を観たのです。劇団昂ザ・サード・ステージ。知り合いがいるのではなく、脚本の畑澤聖悟さんの作品が大好きなのだ。
畑澤聖悟さんという方は、これまた俺の大好きな劇団「弘前劇場」の役者だった。役者としても強烈な個性があって、めちゃくちゃ面白い。その方が弘前劇場でたまに番外公演として脚本を書くようになって、それがまた面白かった。笑えるけど切ない。そんな話を書く。そのうち劇団を辞めちゃったらしくて、どうしてるかなーと思ったら劇団「渡辺源四郎商店」店主というのになっているらしい。これはすげえ観たい。観たいけどなかなかスケジュールが合わなかった。青森の方なので、東京での公演は公演期間が長くないのだ。
 
久々に観ましたね。畑澤さんの作品を。
もう衝撃の作品だった。すげえ。まだ2月だけど今の時点では今年ベスト。このまま12月までベストのままのような気がする。
かなり重いテーマの話だ。見終わった後どんよりした気分になることは間違いない。それでも多くの人に観て欲しい。
(友達の女の子を誘って観に行こうとして、やっぱり微妙に予定が合わなさそうだから辞めて今日ひとりで観たんだけど、正解だった。)
 
ある女子中学校。生徒が自殺した。自殺後に発見された手紙に加害者と思われる生徒の名前が書かれている。その親たちが中学校に呼ばれて集まっている。
親たちと教師・親同士・加害者の親と被害者の親のガチ喧嘩。
自分は、がっつり気持ちをぶつけ合う喧嘩のシーンというのは基本的に好きなんだけど、この芝居の喧嘩は議論のテーマがいじめであり、差別感情であり、大人の身勝手さであり、もう汚い大人たちだよ全く・・重い!! 喧嘩のシーン見たときに感じるはずのすっきり感が全くない! 「重すぎる!こんな話はリアリティがない!」とは言えないところが悲しい。これが今の学校や社会の姿の縮図なんだと思う。
お相撲さんは殺されちゃったし、タレントが問題発言したら徹底的に叩かれるし・・叩かれるのはわかるのだけど過剰な叩かれ方だな・・。書きながら気がついたけど「傷つけられた」って何か卑怯な匂いのする言葉である。
 
舞台のほう。新劇っぽい言い回しの役者さんが多少気になったけど、途中から気にならなくなった。
1か所、舞台演出の暗黙の了解を大胆に破った数秒があって、かなりびっくりした。衝撃を受けました。ルールを破ったのが凄いんじゃなくて、結果そのシーンの緊張感が上がったのだ。
 
11日月曜まで、新宿シアタートップスでやっています。