murakami Labo.

村上研究所

最近読み終えた本たち

星野博美著、『のりたまと煙突』。何気ない日常の風景からはじまったと思ったら、戦争や死ぬことなどの話題に変わってゆく。この繋がりが面白い。疲れているときに「癒されてー」と思って読み始めたが、まったくそんな優しい本ではなくて、厳しい真実と向き合うことになるでしょう。考えさせられる1冊です。

のりたまと煙突

のりたまと煙突

 
ガルシア・マルケス著『わが悲しき娼婦たちの思い出』。書き出しがいい。「満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた」。好きになった女の子が、嵐の日に自分ひとりの部屋に現れた妄想のシーンのところが好きだ。

 
山本周五郎著『青べか物語』。何十年も前の浦粕(浦安)の町の物語。1篇1篇はごく短くすぐ読める。人情もの心あたたまる話を期待して読んでたけど、意外と嫌な奴、ずる賢い人物が出てきて、それはそれで楽しい。早く読み終えるのはもったいない。1日に短編1本づつのように時間をかけて読むのがいい。

青べか物語 (新潮文庫)

青べか物語 (新潮文庫)

 
これは読み終えてないけど、ウディ・アレンのインタビュー集。ウディ・アレンはだいたい年に1本くらいのペースで映画を撮っているらしくて、自分が観たのは8本くらいか・・まだ20本くらい観てないのがある。スクリーンでは神経質で弱気な男を演じているウディ・アレンだが、この本の発言を読んでいるととてもそんな弱い人ではなく、厳しいかっこいいプロだと思う。自分の映画が賞を取っても、芸術作品に「賞」を与えるというのが矛盾していると思っているらしくて、嫌いらしい。どの作品がこれより優れているという考えは間違っている、というのが彼の主張だ。
『インテリア』という映画が公開されたときに、今までと作風が違うため酷評もあったらしいけど、その頃からそういう評論は気にしないで、自分の好きな作品を好きなように撮ることに決めたらしい。この姿勢もかっこいい。

ウディ・オン・アレン―全自作を語る

ウディ・オン・アレン―全自作を語る