『泥棒野郎』
次に観たのがこれ。監督のデビュー作。1969年、ウディ・アレンが34歳のときに撮ったらしい。
ある泥棒の半生をセミ・ドキュメンタリータッチで描いたものだ。ギャグが冴えてる。テンポもけっこう速い。今観てもじゅうぶん笑える。毒々しい笑いはあまりなくて、弱い泥棒のだめっぷりがいい。ビデオのパッケージに「かくれた最高傑作」と書かれていたけれど、これを最高傑作と呼びたい気持ちもわかる。とくに笑ったのが主人公が楽隊でチェロを弾くあたりだが、このあたりは下手に説明するより映画で観てみてください。
途中から女の子と出会って恋愛に至るあたり、非常にウディ・アレンらしい。監督の特徴は初監督作品から自然に出てしまうものなのだろう。初期の作品は比較的ギャグオンリーの傾向があって、それが何作目からか、恋愛やひとの気持ちをじっくり描いた映画に作風が変わったらしいです。そこから監督の評価も高くなってくる訳ですが、だからといって初期のものの価値が下というわけではなく、とくに『泥棒野郎』はかなり楽しめた映画でした。
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